地域を変える力~一票の重みを考える~

7月9日(日)は、福島市議会議員選挙でした。

今回の選挙期間のうち3日間、私は生まれて初めて選挙カーに乗り、地元候補者を支える「ウグイス嬢」の経験をさせていただきました。今までの人生の中で選挙戦を一番身近に感じた日々でした。その3日間と、今回の投票率41.97%という結果を見て感じたことを、久しぶりのブログにしたためようと思います。

 

早速の余談ですが、私は福島へ引っ越してくる前、千葉県市川市で暮らしていました。最寄り駅である行徳駅前には、「こう!と決めたら田中こう」と書かれた看板が掲げられている事務所がありました。このキャッチフレーズは、市川を離れて9年経った今でも鮮明に覚えています。2022年、田中甲氏は市川市長になられたそうです。

 

同乗させていただいた選挙カーでは、市内でも特に、地元である松川町や立子山一帯をくまなく回りました。遠くから響いてくるアナウンスを聞いて、家の前に出て手を振ってくださったり、沿道まで出て握手をしたり話しかけてくださったり、おうちの中からお子さんも一緒に応援してくださったりと、候補者だけでなく私たちも地元の方から沢山の元気をいただきました。

 

都会で経験してきた選挙期間の町の様子は、駅前で候補者が演説をしたり、歩き回って沿道の人と握手をしたり、後援会の方々がビラを配ったりしていました。その時の印象は、「行き交う人たちに、いかに立ち止まって話を聞いてもらえるかが大事なんだなぁ」というものでした。しかし、今回経験した選挙戦の印象は全く違いました。まず、行き交う人がいません。だからこそ、選挙カーでくまなく回ることに大きな意味があるようです。そして、候補者の公約を広める以上に大切な事がありました。

 

山の上にある家の前で手を振ってくれる人がいました。選挙カーは、その山を上り、家の前まで行き、候補者は手を振ってくれた人に直接会って挨拶を交わしていました。車で上がれない坂道は歩いて上り、田畑で待つ人がいれば、あぜ道や斜面を歩いて挨拶をしに行っていました。そんな姿を運転手さんや私たちウグイス嬢は、車の中から見守っていました。そこで気付いたウグイス嬢の役目の一つは、「家から出てきたくなるアナウンスをする事」でした。候補者が来ていることに気付いてもらい、もし伝えたい思いがあるなら直接会って伝えてもらう事。そしてもちろん候補者の思いを知ってもらう事。

 

田舎町、どの家も敷地が広く、家から出てきてもらうのも時間がかかります。なので速度は時速20km以下。そして直接お会いできなくても、どこかでそのアナウンスを聞いている人に、「この候補者は、この地区の事を大切に思っている」ということが伝わるアナウンスをする事も、同じように大切です。

 

こんな山道の先に家があるの???、と不思議に思う道を進んだことが何度もありました。どこも家はちゃんとありました。それを候補者は知っていました。今まで何度も足を運んでいる証です。おかげさまで松川町の地図を作るために町内を100km以上ドライブした時以上に、町内の隅々まで回ることができました。まだまだ奥が深い松川町です。

 

この候補者と有権者のつながりは、選挙期間中だけで生まれるものではありません。付け焼刃で選挙戦を戦うのは無理だという事も分かりました。普段から地域の人と挨拶を交わし、地域の為に共に汗を流す日々を重ね、顔や名前を知る仲となる。その活動を東京23区の1.2倍の面積を持つ福島市全域で行うことは難しいので、まずは地元を大切にする事。

 

選挙事務所を守り候補者を支えるスタッフの方々、後援会の皆さま、多くの人の努力と支援があって、選挙戦は繰り広げられています。微力ながらその一端を担わせていただきながら、有権者の一人としても感じたことがありました。私たち有権者は、「候補者が家の前まで来た」「握手を交わせた」「言いたいことを言えた」「手を振り返してくれた」、これだけで満足して終わってはいけないという事です。もう一つのウグイス嬢の役割は、「投票所まで足を運んでもらえるよう選挙戦の雰囲気を盛り上げる事」なのかもしれません。私たちの一票がいかに重要かを、私たち自身が自覚しなければいけません。

 

今回の市議会議員選挙で当落ラインの票差は、31票。例えとして単純に計算をしてみると、もしあと32人が投票に行き、全員がラインぎりぎりで落選してしまった候補者に投票をしていたら形勢は逆転していました。投票率は、41.97%から41.98%へ、わずか0.01%上がる計算になります。

 

先日、市町村の財政を会社に例えていた本を読みました。面白いなぁと思ったので私もやってみたいと思います。

 

福島市の令和5年度予算は、総額1147億円。主な財源は私たちの税金です。6月に個人の市県民税納付書が届きました。この予算額の一部に、私が支払っている税金も含まれているという事です。市を株式会社に例えてみます。税金を払っているという事は、株の一部を私も持っているという事。株を持っているという事は、その会社つまり福島市に投資をしているという事です。私たち福島市民一人一人が株主です。

 

投資は必ず回収をしたいものです。しかも普通は投資をした額以上の回収を目指します。それは現金という形ではなく、生活環境、教育、福祉など、私たち市民の暮らしがより良くなるという形で還元されるかもしれません。しかも自分ではなく、次の世代、そのまた次の世代が回収するものになるかもしれません。私たちが支払う税金は、未来への投資でもあると思うのです。

 

市が財源を有効的に活用した結果として、私たちが投資をした額以上のものを手に入れるには、事業(市政)をしっかり運営してもらわないといけません。そこにはぜひ自分の意見も取り入れてほしいものです。ただ、私たちには株主総会、つまり福島市議会での発言権がありません。執行部役員、つまり市長や所管部長に対しての発言権を持っているのは、私たちの代表である市議会議員です。会社の運営は、市議会議員の手腕にかかっていると言っても過言ではありません。そして福島市政の状況や情報を一番知りうるのも市議会議員です。

 

もし自分が住む地域で困っていることがあったら、もし「こんな風になったらいいな」という思いがあったら、まずは地元の議員さんに相談してみてください。それを気軽にできることが大切、そして地元の議員さんを頼りつつ叱咤激励することも大切です。地元の候補者を地元が応援する意味はここにあるのだと知りました。

 

議会で発言された内容は、議事録に残され公表されます。私たちも知ることができるという事です。この一連の流れは、株主総会や市県議会などの大御所だけではありません。身近な〇〇協会、〇〇商工会、〇〇組合等々の総会でやっている事と同じです。

 

またまた余談ですが、以前、県の審議会委員を務め学んだことがあります。それは、「政治を動かし、地域を変える力を持っているのは住民」という事です。私で言えば、福島市民であり、福島県民であり、日本国民である住民一人一人が、市政を、県政を、国政を変える力を持っています。「私一人の力なんて・・・」というその力が、流れを変えるかもしれないのです。

 

松川町の朝市には、国会議員の方々も足を運んでくださいます。主催団体である松川町Enjoyプロジェクト実行委員会の監査役の一人は市会議員さん、協賛協力の松川町観光協会の会長も、もう一人の市会議員さんです。朝市に出店している中学生が国会議員さんを見て、「あの人だれ?」と聞いてきました。「国会議事堂で会議をする人」と教えると興味を持ったようで、名刺を受け取っていました。そして「大きくなったら選挙に行く」と言いました。直接ふれあうことの大切さを教えられました。

 

私が選挙カーに同乗した候補者の方に初めて会ったのは福島へ来たばかりの頃、今から8年以上も前のことです。当時から市会議員さんだったようですが、私にとっては職場で使うお米を作っている農家さんでした。福島での不慣れな生活を支えてくれた一人、未だに何かとお世話になっています。

 

無事に選挙が終わり、再選を果たした今、私は今まで同様にこれからも、議員さんに「市民の声を聞いて!!」と電話をしまくり、「朝市の花火を打ち上げたいけど予算がないのでなんとかしたい!!」と無理難題を持ち掛け続けることでしょう。

 

「政治を動かし、地域を変える力を持っているのは住民」、ぜひ覚えておいてくださいね!